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  • 東京都
  • 金森美典さん
  • キャストプランニング
  • 時計屋です
  • ART TIME COLLECTION CAT-FISH(白ネコ)
  • 1962/03/12
  • うお座
  • 石の上にも三年

私のこだわり

この『江戸之刻』(えどのとき)を作ろうとしたキッカケは何だったのですか?

 とりかかったのは、約3年前です。もともと不定時法や和時計に興味があったんですよ。江戸時代から明治初期にわたり、日本で使われた、太陽の運行を基準とした時間法。何と言っても、昼と夜と一刻の時間の長さが変わるというのがユニークで、しかも、世界中で日本にしか見当たらない。今も「草木も眠る丑三つ時」なんて言われますが、そんな言葉が残るくらい、日本の風土によく合っていた。
その時法にあわせた和時計もまた面白い。16世紀に伝わった西洋時計を改良したものだったんですが、長さの異なる振り子が二つあって、昼と夜とで交互に使われる。そうして昼夜の異なる時間の長さを調節し、さらにそれを月に2回ほど、調律師が切り替えのタイミングを直しに来る。そんな時計の構造も素晴らしい。
とにかく面白い。ならば、それを分かりやすく、カジュアルにして作れば、興味を持つ人もいるのではと思ったんです。世界に誇れる日本独自の文化だし、昨年は江戸開府400年でもありましたし。

12枚の文字盤リングを使う発想が面白いですね。

単に十二支が時計の文字盤に載ってるだけ、みたいなのは作りたくなかったんですね。ちゃんと和時計としての機能を果たせるようにしたかった。時節によって変化する刻に対応するには、24時間で針が一周するようにし、使う人が自分で文字盤(十二支リング)を取り替えてはどうかと、思いついたんです。当時の刻が現在の何時になるかという設定は試行錯誤の末、はぼリアルに再現することに成功しました。

時計のデザインは、非常に洗練され、高級感がありますね。

まずは1つの時計としても(和時計という要素を除いても)ぐっとくるト−タルデザイン、さらには細かなディテールに関し、一切の妥協していないですから。
例えば、リューズ(ネジ)など、3回は作り直しました。若干の盛り上がり次第で雰囲気とか随分変わってきますから。リングも白と黒の2色に見えますが、実は4色で出しているんです。古びた鉄っぽい雰囲気を出したかったんで。また若干、版ズレさせて字の立体感を出しています。これも3回くらい作り直しました。ベルトからパッケージに至るまで、いろいろと試行錯誤をしています。細心のこだわりをもって作っていますので、自信を持ってお勧めできますよ。

生産者の横顔

『モノ作りが好き』

金森美典さんは、自らを「日本で最も小さい時計メーカー」とおっしゃいました。時計本体の製作はしないものの、企画立案から、営業や宣伝、販売、さらには修理までの業務を行うのは、金森さん、ほぼ一人。江戸之刻もそう。それを手にとり、クオリティの高さを実感した人の中には、ちょっと意外に思う人も多いかもしれません。
「この業界に入った最初が、とある流通会社でした。新業態としてあたらしいコンセプトのウオッチショッチェ−ンをスタ−トさせるとき、立ち上げからすべてを私にやらせてくれたんです。商品はもとよりそれこそ物件開発からお店の運営まで。店頭のポップ作りも多数やりました。多忙でしたが、苦にはならなかったですね。モノを作り上げていくというのが、性に合っているんだと思います。」

 金森さんは和歌山県出身。実家はみかん畑です。幼い頃から見てきた、みかんを作る父の姿。それが金森さんにとって、モノ作りの原体験です。しかし、父から学んだのは、それだけではありません。
「普通、子供の頃は、オモチャを買ってもらうものじゃないですか。でも、うちは全く買ってくれなかったんです。父にねだると、『自分で作れ!』(笑)。農家だったんで、工具もたくさんあったんです。だから、竹などでいろいろ作っていましたよ。しかも、面白いんですよ(笑)。欲しいものは自分で作る。そんなことも学びましたね」

ところで、モノを作る楽しさは、反面、厳しさでもあります。金森さんは、自らの製品に、一切の妥協を許しません。たぶん製品というよりも作品という意識が強いのかもしれません。
「例えば大手のメーカーは、多くのスタッフが絡むんです。だから生産過程で、さまざまに折れなければならない部分が出てくる。売れ線とか及第点とかね。
でも、うちは私一人です。規模だって小さいから、自分自身が納得できるものを十分に作れるわけです。時計本体はもとより、パッケージの仕様に至るまですべてにわたって、商品全体の世界観こだわる。ここまでは許せるというような妥協点はありません。」

納得いくまでパ−ツの修正を行うと時間もコストも、また手間もかかります。しかも、そこまでしてこだわったディテールが、必ずしもお客さんに分かるものばかりではないけれど、作る以上はとことんまで。
時計メーカーというより、時計企画職人。金森さんはむしろそう呼んだほうがシックリくるかもしれない人です。

「こういう仕事をやっていると、常に何らかの問題が起こるものなんですよ。でも、それを全部、乗り越えるんですよ。修正しなければならない箇所が出て、このままでは納期が間に合わない。だからパーツを作る工場まで自分で取りに行って、組み立ての工場まで届けて、なんとか間に合わせるなんてのは日常茶飯事。どんな時でも妥協しないし。絶対に諦めない。でも、そこまでやって、ようやく出来上がってくると、本当にこれ以上ないってくらい楽しいし嬉しいんですよね。」
座右の銘を「成せば成る」と挙げた金森さんは、実に楽しそうにモノを作る喜びを語りました。

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