生産者紹介
うるし工房錦壽
- 表の見方
- 所在地
- 名前
- 店舗名
- 職業
- おすすめ商品
- 生年月日
- 星座
- 座右の銘
- 福井県
- 山岸厚夫さん
- うるし工房錦壽
- 漆器職人
- 酒盃 刷毛根来 ジーパン風漆
- 1951/01/01
- おひつじ座
- 本物を見る目は、本物を使いこなす事から
私のこだわり
〇山岸さんの、もの作りのこだわりとは?本漆を用い、さらに、木製のものは全て、木固めしてありますので、とても丈夫です。
木固めというのは、木地に直接、生うるしを塗り、吸い込ませることです。木地に下地(漆に地の粉やとの粉を混合して塗る)を塗る前に木固めをすると下地の密着がよく、はげにくく丈夫になります。
作り手としては、沢山、漆が必要になるので、原価は高くなります。でも私が漆器の丈夫さを研究した時、この木固めは絶対すべきだとの結論に達し、木製の全部の器や鉢、膳などに全て、この工程をしているんです。この後何回も塗り重ねしますが、最初のこの木固めが最重要と私は考えています。
本物の漆器は、使うほど深い艶が出てきて、手放せなくなります。
末長く愛用して頂けたら嬉しいですね。
生産者の横顔
ジーパンのように毎日どんどん使える!「ジーパン漆器」誕生秘話山岸さんが、20年程前に個展をした時は、ピカッと光沢のある漆器を並べていたそうです。
「お客様ほとんどの方が、入り口に入られてすぐに『手入れは?』『どんな布を使って磨くの?』など、とにかく扱いの質問をするばかりで、器の形や価格を見るのは二の次でした。
私は、もっと気楽に使える漆器を作りたいと考えました。まず最初にキズが付くのが怖いなら、最初からキズだらけにしてしまおうという逆転の発想です。つまり使い古した雰囲気を作るのです。
当時ジーパンを買うと、新品の雰囲気が嫌で、わざわざ洗濯してから使用し始めていました。 そんなジーパン感覚の漆器を作りたいと思ったんです。
塗りあがった後にすごく細かいペーパーで全面を研ぎ、その後、拭き漆と言って漆を刷り込んで仕上げるようになりました。漆を刷り込むことにより、塗りあがりの表面より強くなり、爪をたてて引っかいても傷が付かないほどの硬い表面になりました。
次のお客様の心配は、すぐ剥げるのではないか、という不安です。
剥げるとは、木地と塗りの密着が悪い、または厚い漆塗りが欠けることです。木地と下地の密着については、木地に最初、生漆を吸い込ませる木固めの工程をしっかりすることで、剥離を少なくしました。
また厚めの漆が欠ける問題ですが、これは下地の工程の時に、生漆と地の粉、との粉との混合配分によって異なる事がわかりました。丈夫さと混合比率を研究し、結局、刷毛で下地を塗ることにしました。刷毛で下地を塗ると、刷毛目が残ります。伝統工芸の世界では刷毛目は研いで平らにするのが基本ですが、あえて平らにする必要はないと考えたんですね。刷毛目も手の味と考え、逆にそれを活かそうと思いました。」(山岸さん)
丈夫で使いやすい漆器を追及して、20年!
山岸さんは、その後も工夫を重ね、今までにない丈夫で使いやすい漆器を20年以上追及し、新境地を開いてきました。
「一度使ってみると、良さが分かります。修理も出来ますので、とにかく、ドンドン使ってみて頂きたいですね。何といっても、天然漆の漆器は、生き物です。その証拠に、大切に使い込むほどに、いい光沢を出し、素晴しい味わいが出てくる。贈り物にして頂いても喜ばれると思います。」(山岸さん)
山岸さんの言葉からは、20年間、育ててきた漆器に対する、深い愛情と自信がにじみ出ています。
今日も山岸さんは、使うほど愛される漆器作りに、精を出していることでしょう。